海運就職指南 – 船舶金融

船舶金融とは?

船舶を造船する際にする際に、数億単位の資金が必要であり、船主は主に銀行や造船所から融資を受けて船舶を造船をする。あるいは、船主は購入予定の中古船を担保に資金調達を行う。一般的な金融の世界では、プロジェクトファイナンスと呼ばれている。また、為替オプションの売買などを行い為替変動リスクの対応なども行う。

就職・転職

まず、新卒でいきなり銀行に入っても、希望すればすぐ船舶金融に関われるという事はないと思われる。もし、金融業界から海運業界に入られたい方がいれば、まずは海運業界のどこかに入ることをお勧めする。リース会社や銀行などは、海運会社出身(運航事業出身)の者などにも転職市場では門戸が開かれていることが多い。

穴として、考えられるのは、リースなどのアレンジに関わる船舶ブローカーになるという選択肢もある。この場合、プロジェクトやShips Sales and Purchaseに関わるブローカーになれれば、投資回収のモデルを作ったりするなど、一部業務に関わることが出来る。船舶ブローカーに関しては、後日まとめを書きたいと思う。

海運就職指南 - 船主系職種

船主(船主業)とは?

船主とは、読んで字の如く船の持ち主の事であり、船の直接的な持ち主の事である。船のオーナーは、個人(家族経営)である場合もあるし、金融会社・ファンドが所有している場合もあるし、商社が所有している場合もある。意外かもしれないが日本の外航船舶の瀬戸内海を中心とした個人船主が日本の外航船舶の4割*程度を所有しており、残りは東京の大手企業(大手海運会社、リース会社、船舶ファンドなど)が所有している。

船主業は主に3つの業務に分解できると考えられる。新造船を発注したり、所有した船舶を船舶運航会社に貸し出したりする営業関係の業務、船舶管理業務に主に分けられる。

船舶管理業と船員配乗だけを行う会社もあるのだが、基本的に船主が行うものだと考えてくれてよい。

営業関連職(船主業、船舶貸渡業)

この業種は、新造船投資、中古船売買、および用船が中心となり、その取扱い金額も大きいものになる。数十億円くらいの取引が中心となり、仕事も4-5年かけるような長期契約が多いのが特徴である。この職種を経験することは、小さい企業(4-5隻所有)であれば、経営陣にでもならない限り難しい。しかしながら、船を20-30隻所有している比較的大きな船主であれば比較的チャンスはあると思われる。

船員配乗

船主をやっている会社に入ると、大抵は船員部という部署がありそこで、船舶に必要な船員をフィリピンやインドから雇用したり、船員の交代を行ったり、事故に見舞われた船員の事故処理を行う。給料の支払いなどについては、船員配乗会社を通じて行われる。

船舶管理業

大きく工務と海務の二つに分かれている、工務はより技術的なところのサポートを行い、海務はより実務的かつ法律的なところを陸上から船長にサポートしている。船舶管理系の職には、海務監督と呼ばれる船長や船員職を経験した者がおり、彼らが船主の代表として本船に乗り込んで業務の監視を行う場合がある。

船舶管理のサポート内容としては、艤装品や必要備品の手配、安全規則の遵守、事故対応などの仕事が主である。

船主業の給料およびキャリアパスなど

だいたい、運航補助系の仕事だと400-600万/年くらいからスタートで、管理職に行くと800-1,000万に行くイメージ。海務監督関係になると、人が不足しているのでもっともらえる可能性が高い。船員配乗の経験だけだと、同業者までしか恐らく転職するのは厳しいが、船舶管理で運航まで経験していれば、運航関係の仕事でブローカーや他船主などの可能性がある。上手くいくと用船や売船などの営業関連職につける可能性も高い。語学力は、どの職種も必須ではあるが、相応の語学力さえあれば海外就職や転職などの道も開けてくる。

Ship Registryする際に意識するポイント(試験対策)

Describe the main issues that a sale and purchase broker must be aware of during the registration process

①コメントステージ

Familiarity with the registration process = obvious advantage to S&P broker
Brokerは船籍に精通していた方が良い。
大体のケースは、大使館に連絡をする必要がある。

船籍に関する説明
National Flag/Open Registry (or Flog of Convenience) / Offshore registries

各国独自の規制があるので、規制に従い会社の形態、役員の選出などを選択する必要がある。

船籍によっては、White/Grey/Blackに分かれる。

⓶Middle of process
船舶の登録には、Evidence of titleが必要。
新造船 → Builder’s Certificate 
中古船 → 過去の船主からのBill of Sale
企業間で船舶取引を行う場合、英国の会社が関わっていなくてもA British Bill of Sale Forms通称 XS 79Aが使用される。
BIMCO Bill of Sale Formも使用される。
個人間とPartnershipの取引の場合にはBritish SX79 Formが使用される。

船主(個人・企業にかかわらず)はproof of entitlement to register vessel under the desired flagを必要とする。

個人では、proofとして以下の事が必要である。

  • Existence and currency of the corporation by providing such documents as a valid certificate of incorporation and perhaps proof that corporate taxes and fees have been paid up to date
  • See a legally attested copy of a resolution signed by majority of shareholders and officers to acquire the ship
  • 会社代表者は、Power of Attorneyを以て会社代表者であることを証明しなければならない

Bill of Saleは必ずしも船舶所有者の移転を証明できるとは限らないし、所有権を保証するものでない(Does not guarantee the title) 過去の船主の所有歴が必要であり、これがBuyerにSecurityを与える。Transcriptには、抵当権も明記しておくのが良い。

ブローカーは、本船の引渡し前に船籍に必須事項を確認することで支援する。必須書類の期限や登録日などを教示する

Authorityは、すでに使用されているregistry of shipping nameを再利用することを拒否するため、事前確認することが必要。(Commercial attacheの事前確認が必要?)

Commercial attaché definition is – an officer in the foreign commerce service of a country who is attached to an embassy or legation in those countries considered important for trade or business

Register bookには以下の情報が必要
1  Names and addresses of owners, shareholders and more than owner

2, Deatils of the vessel

3, Gross Tonnage

4, Record of any mortgages on the ship

5, 本船の名前、official number (Allotted by the registrar), Port and date of registry

Registryは上記情報を以て、Certificate of Registryを発行する

③ Delivery Stage

買主の抵当は、新船主の船籍登録が済むまでは、ローンされない。
実務上は、船籍登録を待つことは出来ないため、買主は船籍をpre-registerをすることが出来る。これは売り主がBill of Saleに売り主の名前を抹消し、Seller`s registryをCloseすることを条件とすれば可能。

ほどんどのケースでは、売主は本船の引渡しまで登録をしておき、引渡しが終わってから抹消をapplyする。パナマは、電子で船籍を引き渡し後にすぐ抹消することが可能である。

Registry Surveyorが本船を検船する場合がある

Surveyorの検船が終了したら、Carving noteがRegistarに返還されて、本船がトレード可能な状態となる。

 

 

船籍(新規登録,Call Sign, Trading Certificates)

新規登録

船舶ブローカーは新造船購入の際に、船舶を船籍に入れることを求められる場合がある。船舶の所有権は、Shareholdingsによって分けられる。Shareholdingsは多くの場合、一つの会社が所有するケースが多い。

  • 船籍登録するために必要なものはEvidence of title(所有権)
  • 所有権は新造船の場合はBuilder’s certificate、中古船の場合はBill of Sale(前の船主から発行される)により証明できる
  • Bill of Saleについて代表的な書式3つ: 
    British Bill of Sale Form: XS 79A (外国企業間の船舶取引に使用可)
    BIMCO Bill of Sale Form (All-purpose)
    British XS 79 of Sale Form (個々人の船舶取引に使用可)
  • 船主自身もExistence and Currency of the corporationを以下のステップによって証明しなければならない
    1、法人登記、法人税の支払い票など
    2、法人での船舶購入の決裁書の提出
    3、Power of Attorney(委任状)により本船購入代表者であることを証明する
  • Bill of Saleは、所有権が移転したことを証明するに十分だが、Clean Titleではない。Secondhand Sale Formに所有権の移転をはっきり示しておくことが重要。
  • 船籍登録は本船購入時に事前に済ませておかねばならない作業で、間違えが許されない。船主は、Authorityに対して登録予定日をお伝えしなければならない。
  • ほとんどのOpen Registryは、主要港や主要商業地にオフィスを構えており、手続きは、大使館や領事館で行うことが可能。
  • Registryに必要な情報
    1、船主名および共同所有者
    2, 本船の詳細:Type, Age, Builder, and Dimensionなど
    3, Gross Net Tonnage
    4, Mortgagee記録
    買主側のモーゲージは通常、Registryを済ますまではファンドをローンできない。但し、買主は、必要書類を集めればPre-registerをすることが出来る。売主から売主の船籍から本船を消去することが前提となる。
    5, 本船名、Official Number, Port and date of registry

Call Sign

船籍登録後は、本船は通信のための識別として、Call Signを割り振らなければならない。

Call Signは4桁ないし5桁のアルファベットと数字の組み合わせ。

Gから始まる船は英国船、Sから始まるのはギリシア船。

Trading Certificates

トレードに必要な書類としては以下のものがある。

  • International Loadline     5 years
  • Safety Construction           5 years
  • Safety Equipment               2 years
  • Loadline Endorsement     1 year
  • Safety Radiotelegraphy    1 year
  • Radio Station Licence       Various (somtimes continuous)

ブログ開始

ブログを始めることにしました。
テーマとしては海運でも扱おうかなと。とは言っても資格試験の忘備録として頑張りたいと思います。

私自身は某船会社で働いていて、Drycargo (Chartering)が専門なのですが、以下の科目用の勉強の記録が出来ればと思います。

Economics of Sea Transport and International Trade
Legal Principles in Shipping Business
Ships Sales and Purchase
Shipping Finance