Causation

Breach of Duty of Care(善管注意義務違反?)が、直接的な原因で訴訟人の損失が生じていなければならない。被告人は、他者によって生じた損失に対して責任を負う必要性はなくまた、因果関係のないものに対して責任を負う必要もない。因果関係を証明するためには、”But for” test(~がなければTest)を実施することにより判明する。(Cork v Kirby Maclean [1952] All ER 402) 

Cork v Kirby Maclean事件では、被告人の夫はてんかん性発作(epileptic fit)を起こし駅から転落し死に至った。被告人は、Statutory Safety Regulationに対するBreach of Duty of Careの状況にあったと主張されたが、裁判所は被告人の夫は従業員に癲癇性発作を患っていることを告知しておらず、また、患っていたことを知らせていたとしても転落した可能性が高いと判断した。

Cork氏の死は、彼の過失によって起きたものであり、彼の従業員に告知していなかったものによるものでもなく、従業員が安全規則に従わなかったことによるものではないとした。

Breach of Duty

被告が訴訟人に対してDuty of Care(保護責任)があると確立されると、裁判所はこの責任が違反されていないかどうかを検証する。この検証は以下二つの質問から検証される。

1, どのような基準でStandard of Careを判断するか
2, 被告は標準以下のCareをしていなかったかどうか

ほとんどの場合、Standard of careは、”Reasonable Man”によって確立される。仮定の話となり、被告人の立場にとって、良識ある人(prudent person)であればどのような手段を講じていたが論じられる。専門家であれば、専門家が話し合いの下確立する。

客観性の試験は、法律でsome measure of certaintyをもたらすことになる。過失の場合には、モラル責任ということにはならない。 Nettleship v Weston [1971] 3 All ER 581では、教習所の生徒が責任あるとの判例が出た。その事件では、生徒が車を木に突っ込ませ、教師を怪我させてしまった。教師は、最終的に教習所の教師としての能力はあるとされ、衝突事故は一般のドライバーでも免れ得ぬとされた。この事件は、法定外で示談・和解解決するべき問題とされた。

被告人が基準以下かどうかを決定するには、裁判所は様々な要素を検討する。(及ぼすリスク、そのリスクを予防するための費用などを検証する。裁判所は、専門家が取りうる可能性のある対策を検証し、それに見合った対策をとっているかどうかを判定する。ただ、専門家が取りうる対策(業界の慣習)を取ったからといってかならず責任を免れられるかと言われればそうでもなく、その対策自体がnegligentな場合もありうる。

Tort (Duty of Care)

Lort Atkinsは、Neighbor の法則とDuty of Careの法則をDonoghue v Stevenson [1932] AC 562 で発展させてきたが、実社会や実務的な状況においてその原則に当てはめにくいケースが出てくるようになった。

時間の経過とともにLord Atkinsの提唱した原則は、一部のみの適用をされるようになってきた。

その一例がCaparo Industries Plc v Dickman [1990] 2 AC 605でLord Roskilが以下のように述べている。

法律が過失責任を問うべきか問わないべきかの単純な基準というものは往々にして存在はしない。予想可能(Foreseeable)、近接性(Proximity)、近所(Neighborhood)、Just/Reasonableといった用語が頻繁にみられるようになった。それらの形容詞は、最も良くて意味を成すが、たいていの場合は、言葉とは裏腹に事実と乖離していたりすることがあるので、Duty of Careがあるかどうかを決定する前に、よくよく検証しなければならないことが多い。では、どこまでを(Scope and extent)Dutyとするかが問題である。

Caparo Industries Plc v Dickmanにおいて、裁判所は新しいDuty of Careの検証方法を提唱した。

1, 被害者の損失は常識的に予測可能なものであったか (Unreasonably foreseeable)

2, 被害者と加害者の関係に近接性はあったかどうか

3, 両者の関係においてDuty of Careが発生するような関係・状況だったと裁判所が納得できるかどうか

裁判所はDuty of Careにより生ずる直接的な金銭的損害に関する賠償を容認することについては慎重となる必要があるとした。一方、生じた傷害や器物破損に関しては厳格すべしとしている。その背景にあるものは、もし、誤った保険請求などにより賠償を許容してしまうと、保険料が上がり他者の金銭的損失にひいては繫がる恐れのあるためである。さらに、今後、あまり関係のないような事柄でもDuty of Careに結びつけ、保険請求が増大する懸念があるとした。

これらの懸念とは対照的に、Capro v Dickman以前においては、裁判所はNegligent Misstatementについては、金銭的損失の回収については容認してもらえるという見方をしていた。これはHedley Byrne& Co Ltd v Heller & Partners Ltd [1964] AC 465 で確立された。この事件では、銀行が誤った情報を不注意で与えてしまった。Claimantは、銀行の情報に頼らざる負えない状況にあり、結果的に金銭的損失が発生してしまった。銀行側は、第三者の情報に頼らざる負えなかったとして責任を逃れようとした。しかしながら、the House of Lordは第三者や専門家の特別な関係や情報に頼らざる負えない場合には、Negligent Misstatementと考えられるとした。

この考え方は、洪水発生後の建物の損傷建造物の建設承認や検査にも適応された。裁判所は、金銭的賠償に関する考え方については慎重となっており、Anns V Merton London Borugh Council [1978] AC 728をOverruleしたMurphy v Brentwood District Council [1991] 1 AC 398 に落ち着いた。

海事においては、裁判所は上記の責任が貿易を阻害せぬような前例を作りたくないとしており、契約法でもそのような制法をしている。

Candlewood Navigation Corp Ltd v Mitsui OSK Line [1986] AC 1ではMineral TrasnporterとIbaraki MaruがMineral Trasnporterの船員の過失によって衝突した。最初の訴訟人、Ibaraki Maru船主は第二の訴訟人に用船していた。第二訴訟人は、第一訴訟人に本船を再用船していた。訴訟人は、用船者として、本船修理中の金銭的損失について回収を申し立てることはできない。Privity Councilは、Principalは契約関係にただあるという理由で損害賠償を申し立てることができないとした。

Leigh and Silivan Ltd v Aliakmon Shipping Co Ltd (The Aliakmon) [1986] AC 785