海運就職指南 – トレード系

トレード系の仕事は、航海用船や航海定期用船などを通じて基本1航海で利益を上げることを目指す。船主側に立つ人間をChartering Managerと呼び、荷主側に立つ人間をFreight Traderと一般的に呼ぶことが多い。このようなトレード方式(いわゆるスポットビジネス)を行う会社は、船舶運航会社と呼ばれ、NYK、MOL、K-LineやNS Unitedなどの大きな海運会社に限られるのが特徴である。荷主側の会社も、総合商社、鉄鋼メーカー、石油会社など大手の会社が多く、就職難易度的にも、プレーヤーとして入り込むのが難しい海運業種と考えられる。また、日本の大手海運会社は、スポットビジネスを減らす方針(*1)のところが多く、今後ますますスポットビジネスに携わる機会はなくなってきていると思われる。
*1…所謂、安定運賃事業の強化

船舶運航会社 – オペレーター

船舶運航会社とは、オペレーターと呼ばれる存在で、主なビジネスモデルとしては船を船主もしくは、他の運航会社から借りてきて、その船で貨物を運ぶかもしくは、その船を他の運航会社に貸し出し、鞘取りをする業種である。

運航会社の業種は主に2つに分かれる。契約を取ってくる用船部(Chartering Manager)と契約を取った後に船を運航する(Operation Manager)の二つに二分される。また、この二つの活動を支援する部署として、燃油部(Bunkering Manager)や
法務関係の部署(Legal and Credit Risk)がある。用船に関しては、運賃の計算や貸し出した場合の航海の採算を査定する。この職種は外国においては運航会社の中では、フロントオフィスであり最も稼げる職種である。一方、オペレーションはどちらかというと、バックオフィス的な役割であり、給料もChartering Managerよりは劣る。日本では、あまり差が付かない。法務部はどちらかといえば、バックオフィスだが専門職に近く、英国の契約法や用船契約書の査定などを行う。外国の会社では、英国弁護士資格を持つものが多い。また、法務の一部として与信審査もあり、その会社がトレード可能か破産しないか、制裁に引っかからないかどうかを査定する部署である。

荷主 – Freight Trader and Operation

荷主(Commodity Trader)は貨物の運賃を集めるFreight Traderとその船舶の運航を行うOperationが存在する。荷主がどういうことをやっているかは、商品取引会社大手のTrafigure社から解説動画が出ているのでリンクを貼っておく。ちなみに、すごく良い解説動画なのだが、あまりViewはないのが残念である。

荷主側の船舶を手配する人間が、Freight Traderと言われる人なのだが、Commodity Trader自身が船を所有するパターンもある。船舶の運賃業界は運賃の変動(Volatility)が高いため、Freight Traderは船舶の手配以外に運賃先物などを購入して貨物の輸送費の安定化を図る。